協議離婚ができない場合、まず調停を申し立てて、調停が不成立であれば裁判を提起する、というのが通常の流れです。

 しかし、調停が不成立の場合でも、主要事項については合意している場合や、一方が意地を張って合意しないだけであることが明らかであるような場合には、改めて裁判をするのも無駄なので、このような場合には、家庭裁判所が職権で行う調停に代わる審判(24条審判)という制度が利用されることがあります。

 24条審判は、一般調停事件の調停において

①調停委員会の調停が成立しない場合であること
②家庭裁判所が24条審判をするのを相当と認めること
③調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴くこと
④当事者双方のため衝平に考慮し、一切の事情を見ること
⑤当事者双方の申立ての趣旨に反しないこと

の5つの要件が揃った場合に、家庭裁判所の裁量的判断によって行ってもよいとされているものです。

 離婚調停では、通常、離婚の外に、財産分与、親権、養育費、慰謝料請求等も併せて話合いがされていますが、離婚の合意はできているのに、財産分与や養育費等にわずかな相違があるため調停が成立しないという場合には、わざわざ離婚訴訟をしなくても、従来の調停手続きを活かして、24条審判をする方が合理的です。

 また、当事者の双方または一方が感情的な理由から合意しないと言っているけれど、実際は「裁判所が決めたことであればそれに従う」と思っていることが明らかであるような場合、当事者の一方が遠隔地におり出頭できないが離婚意思については確認ができている場合、婚姻関係が破綻しているのに一方の当事者が全く調停に出てこない場合等も、離婚を成立させても特に問題ありませんので、24条審判を利用する意味があるケースといえるでしょう。

 ただし、この審判は、調停の相手方から、告知の日より2週間以内に異議申し立てがされると、効力を失ってしまうので、異議申し立てが予想される事案では調停を不成立にして訴訟に移行させてしまうため、めったに利用されることはないそうです。

弁護士 堀真知子