東北地方太平洋沖地震の被害に遭われた方々、また、関係者の方々に、お見舞い申し上げます。

 このような非常事態においては、だれかと離婚したい、などという気持ちよりも、誰かと一緒にいたい、という気持ちが強くなるのかもしれず、本日は、いつものように離婚問題の解説というよりは、現在の非常事態において、離婚事件にどのような影響が出ているのかについてお話します。

 私達が普段接している家事事件というのは、通常、「一刻も早くしなければ、離婚できなくなってしまう。」という性質のものではないのですが、地震直後から、「一刻を争う」様相で増えたのが、別居している子ども達の安否確認をしてほしいという電話、メールです。

 やはり、別れて暮らしていても、親子のきずなは強いのでしょうね。別居夫婦間では気軽に連絡を取り合うのもはばかられ、弁護士を通して安否確認をすることになります。しかし、別居夫婦に必ず弁護士が付いているとは限らず、その場合は、知人を通すか、災害用伝言板等を利用することになります。別居夫婦間における非常時の連絡手段の確保の必要性を感じました。

 また、地震の影響で、一部の裁判所の機能がストップするという影響も出ています。裁判官や書記官などの職員が通勤できないとか、停電などの影響です。実際に停電になったかどうかはわかりませんが、ある裁判所に電話すると「これから停電になるから、今、対応するのは困難。」などと、非常にあわただしい様子でした。

 裁判所が機能できなかったり、当事者が出頭するための交通機関の途絶などで、私の今週の裁判所に関連する予定は、軒並み延期となり、いつ予定の組み直しができるか目途が立っていません。中には、今週の期日で離婚が成立する可能性が高かったという方もおり、落胆されたかもしれません。

 地震が起きるまでは、まさかこのような事態になるとはだれも想定していなかったと思います。

 離婚紛争中に地震の被害に遭われた方々にとっては、二重の痛手となり、相当の心労になっているのではないかと心配しております。早く平穏な生活ができるよう、心からお祈りいたします。