さらに、裁判所の裁量により破産者が本来的自由財産の範囲を超えて財産を保有させてもらうことを自由財産の拡張と呼んでいます。これには拡張することが必要不可欠であること(不可欠性)の判断が求められますが、現金、預貯金、車、有価証券その他財産の総額が99万円を下回る場合に拡張することが相当であるという判断の仕方あって、なかなか厳格です。
ただ、裁判所によっては異なる判断の仕方のところもありますし、破産者の経済状態や後遺症により働いて継続的に収入を得ることが難しいようなケースでは99万円を超える拡張が認められる余地はありますので、諦めずに窮状をアピールすべきでしょう。
今回は敢えて慰謝料を取り上げなかったのですが、実は扱いが特殊です。できれば次回にご紹介したいと思います。
今回もお付き合いいただきありがとうございました。
参考文献
・小野瀬昭『交通事故の当事者につき破産手続開始決定がされた場合の問題点について』判例タイムス1326号58、59頁
・野村・石川・新宅『破産管財実践マニュアル』青林書院230頁