皆様、こんにちは。

1 イントロ

 平成24年4月27日付の当職のブログ記事では、交通事故の加害者が自己破産(免責許可申立てを含む)をすることになった場合についてお話しました。
 (記事はこちら:加害者の破産

 それでは、被害者の方が自己破産する場合はどうなるのでしょうか?

2 問題の所在

 破産手続では、申立てを受け付けた裁判所が破産手続開始決定を出すと、開始決定時に破産者に帰属する財産の管理処分権が失われ、管財人の管理に委ねられることになります(破産法78条1項)。管財人が管理する破産者の財産のことを、破産財団(破産法2条14項、34条1項)と呼んでいます。管財人は破産財団を管理し、債権者への配当を実施する役割を負っています。

 したがって、例えば交通事故の被害者が事故後に破産手続を申し立てることになって、裁判所から開始決定が下されると、被害者が有する損害賠償請求権も開始決定時に帰属している財産にあたるので、管財人に完全に取り上げられることにならないか?というのが今回の問題の所在です。