3 考え方

(1) 被害者の立場

 例えば、後遺症の等級認定がついた場合、被害者の方は損害項目の一つとして、逸失利益の請求をすることができます。逸失利益とは後遺症によって失われたとされる労働能力(後遺症の等級に応じて喪失率が異なります)を金額的に評価した損害項目です。

 上記2でご説明したように、被害者の破産手続が事故後に開始された場合、この逸失利益も破産財団に該当することになるでしょう。

 しかし他方で、逸失利益は、後遺症によって将来の労働能力が削がれた分を補てんするためのものなのに、将来の生活再建を図るための破産手続で全て取り上げて債権者への配当に充ててしまっていいのか?という考え方が出てくるかもしれません。

 この考え方については、逸失利益の金額と借金の金額の大きさによって結論は異なり得るといえます。