(2) 想定される進行

 そもそも、後遺症が重く、逸失利益も含めて賠償額が高額になりうる場合、被害者の借金の金額を支払われるべき賠償額が上回る可能性があるので、裁判所が破産手続を受け付けてくれない可能性があります。

 ただし、賠償額が高いケースは保険会社との交渉も難航して直ぐに支払いを受けられない可能性がありますので、必ずしも破産手続を受け付けてもらえないとは限りません。

 管財人は財産の管理処分権を委ねられているので、交渉を引き継ぐことがありますが、争いがあって交渉が長期化しそうなケースでは、裁判所からの許可を経て、交渉を放棄する(破産法78条2項12号)可能性はあります。