このような争いについての判例として、例えば、被害者の外傷性頸部症候群(通院期間5年、後遺障害非該当)について、一般に他覚的所見の乏しい頸椎捻挫等の治療期間は長くても3か月程度が妥当とされているとの鑑定結果、物損が軽微であること、当初の加療見込みが3か月程度とされていること、治療開始当初の神経ブロック療法に持続性がなく治療内容に変化がないことなどから相当因果関係のある治療期間としては、事故後概ね1年間を経過した日までとした(素因減額50%)ものがあります(東京地判平成10年1月20日)。
2 治療の中断・初診遅れが問題となった事例
被害者が事故後何らかの事情で直ちに受診せず、事故から相当日数が経過してから治療を開始した事案で、加害者側が通院治療と事故との相当因果関係が存しないと主張することがあります。また、治療を受けていたが、治療を中断後相当日数が経過してから治療を再開した場合に加害者側が通院再開後の治療と事故との因果関係を争う事案があります。