1 はじめに

 こんにちは、弁護士の平久です。
 今回は、前回に引き続き、離婚後300日問題にどのように対応していけば良いのかをお話しします。
 (前回の記事はこちら:離婚後300日問題(1)

2 親子関係不存在確認の調停

 まず、一つ目は、元夫を相手方にして、親子関係不存在確認の調停を起こすことです。そして、調停の場で、元夫に、生まれた子どもと実の親子関係がないことを証言してもらい、最終的には合意に相当する審判をしてもらいます(家事審判法23条)。

 ただし、この手続きには前の夫の協力が必要なので、前の夫の協力が得られなかったり、前の夫にDVがあったりして会いたくないといった場合には適当ではありません。離婚するときには通常夫婦関係が非常に悪くなっているので、相手方の協力を得るのは難しくなっていることが多いのかもしれません。

3 法務省の通達

 法務省は、平成19年5月7日、婚姻の解消又は取消し後300日以内に生れた子どもについて、「懐胎時期に関する証明書」(医師が作成します。)が添付され、当該証明書の記載から、推定される懐胎の時期の最も早い日が婚姻の解消又は取消しの日より後の日である場合に限り、婚姻の解消又は取消し後に懐胎したと認められ、民法第772条の推定が及ばないものとして、母の嫡出でない子又は後婚の夫を父とする嫡出子出生届出を可能とする通達を出しました。

 しかし、この通達が対象とするのは、離婚後に懐胎した子どもですので、離婚前に懐胎した場合は救済されません。

4 認知調停

 2でご紹介した親子関係不存在確認の調停は、元夫を相手方としたものですが、認知調停は、再婚相手、つまり子どもの実の父を相手方とするものです。

 この調停において、妻と再婚相手である子どもの実の父親との間で、子どもがその父親の子どもであるという点について合意ができ、妻が元夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白であることを立証していくことができれば、子どもは再婚相手の子どもとして戸籍に入ることができます。

 具体的には、住民票などで長期間の別居の事実を示していくことになりますが、DNA鑑定を行うことも普通です。さらに前の夫の証言まで要求されるのかは調停を担当した裁判官によります。

弁護士 平久真