こんにちは。長谷川です。
 今日は担当事件でちょこっと緊急事態になって疲れたので、少し軽い話をしてみたいと思います。

 離婚にあたって別居しているか否か、している場合にどのくらいの期間別居しているのかといった点は、婚姻生活が破綻しているかどうかを判断する上で重要なメルクマールです。このことは、このブログでも、何度も、色々な弁護士が申し上げていますよね。

 さて、この別居に関し、離婚相談で意外と多い夫婦の状況に「数年来、家庭内別居である」という状態があります。

 家庭内別居というのは、曖昧な表現ですが、まあ、要するに、同居はしているけれども、殆ど口をきかない、場合によっては一緒に食事をとらない、寝室が別といった状態を指していることが多いと思います。

 で、離婚したいというご希望をお持ちのご依頼者さんに、「別居はしていますか?」と尋ねると、「完全に家庭内別居状態です」とお答えになる方がいます。で、そうやってお答えになる皆さん、結構、家庭内別居も別居の一つだと考えておられる方が多いんですよね。

 でも法律的に申し上げると、家庭内別居は、よほど「明確な線引き」をしていない限り、原則として同居として扱われます。従って、破綻のメルクマールにはなりません=破綻しているとはいえないということになります。

 では、この「明確な線引き」って何でしょうか。

 一番分かりやすいものだと、別居合意書を作成しているような場合です。すなわち、「●年●月●日から、夫は自宅の1階を、妻は2階を主たる居住スペースとし別居することに合意する」だとか「別居期間中の婚姻費用の定め」だとか、「食事や洗濯、生活スペースの使用方法」だとかを定めた合意書を締結し、双方が、同じ家の中にいても、それぞれ別個独立に生活することを合意した旨明らかにしておくと、家庭内別居といえど、別居として扱われる可能性が大変高くなると思います。

 他方、そういった明確な線引きがないまま、単に口をきいていないだとか、寝室が別だという程度では、確かに夫婦仲は良くないにしても、それでも婚姻生活を続けている夫婦は世間には山ほどいるのだからという程度の扱いしか受けません。

 なので、離婚を考えるようになったが、経済的その他の理由で別居ができずに家庭内別居をせざるを得ない場合には、せめて、上記のような合意書を締結し、破綻していることを明確にしておく方が良いと思います。

 ・・・軽い話をするつもりが、余り、軽い話になりませんでした。根が真面目だからかなあ。。。(笑)

弁護士 長谷川桃