「離婚した」ということになると、働いている女性にとっては職場で何かうわさされ、職場に居づらくなるのではないかと気になる人もいるかと思います。離婚したことで、職場の男性たちから離婚原因などを執拗に探られたり、あるいは事実でもないのに女性側の不倫が原因ではないの?などとうわさをたてられたりし、そのため仕事が手につかなくなってしまう場合があるかもしれません。

 そのようなとき、どのような対処ができるでしょうか。

 雇用機会均等法21条は、事業主は職場における性的な言動によって女性労働者の就業環境が害されないように雇用管理上必要な配慮をしなければならないこと等を定めています。そこで、事業主に嫌がらせ等をうけていることを申出て、就業環境を整えるよう求めてみるという方法があります。それでも何らの配慮をしてくれないのであれば、労働局に行って事情を説明し、事業主に就業環境を整えるよう指導を求めるのも一つの方法です。

 いやがらせが悪質で、法的な手段にまで訴えたいとなれば、まず考えられるのが、いやがらせをしている人たちの不法行為責任(民法709条、710情)を追及するということです。ここでの侵害されている権利は、人格権や名誉権等ということになります。

 また、嫌がらせをした人たちだけでなく、従業員が行った行為について事業主も一定の場合には責任を負います(民法715条等)から、その場合には同時に事業主も訴えることができます。

 もっとも、軽度な嫌がらせではこれらの責任は認められず、不法行為責任がみとめられるには、行為者の職務上の地位、行為や言動が行われた場所、その言動の反復継続性等様々な事情を考慮して「社会的見地から不相当とされる程度のもの」であることが必要となってきます(名古屋高裁金沢支部平成8年10月30日労判650号8頁)。