みなさんは休日はどのようにお過ごしでしょうか。
 私は1年くらい前から海釣りにはまっており、竿を持ってあちらこちらの防波堤に出没しています。船釣りや筏、磯にも挑戦したいのですが、何となくお手軽にできるので、漁港などの防波堤から釣り糸を垂れています。

 今回は息抜き的な記事ということで、依頼者・相談者の方から調停についてよくある(又はありそうな)質問をまとめてみました。

Q1:調停にはどのような服装で行けばいいのですか。背広でなければいけませんか?

A1:背広でなくても一向にかまいません。背広が要らない職業の方(現場の方や自由業の方など)が背広を持っていないからといってわざわざ購入するのは不経済です。仕事の途中なので、と作業服で来られる方もいますが、酷く汚れているのでないなら問題はないでしょう。休日であれば、清潔感のあるカジュアルファッションで大丈夫です。
 むしろ、調停委員にご高齢の方が多いため、「ちょい悪オヤジ」っぽい服装のほうがまずいと思います。そんな人はいないでしょうが、腰パン・派手なアロハ・室内なのに帽子やサングラスなどはやめましょう。「高齢者が怒らないような服装」を心がけて!

Q2:調停委員とは何者ですか?

A2:当職の親権獲得講座②をご覧ください。

Q3:家庭裁判所に駐車場はありますか?

A3:駐車場のある裁判所もあれば、ない裁判所もあります。例えば大阪家裁堺支部などは現在ありません。京都家裁はありますが、それほど台数が停められるわけではありません。前もって、裁判所に電話で確認しておくのが良いでしょう。また、駐車場が狭くて停められないこともありますので、できれば公共交通機関を使いましょう。

Q4:家庭裁判所にはタバコを吸えるスペースがありますか?

A4:全国各地の裁判所を見て回ったわけではありませんが、今まで灰皿・喫煙スペースのなかった(と思われる)裁判所は、吉野川簡易裁判所(徳島県)のみです。地裁と同じ建物や敷地にある裁判所ならば、必ずどこかでタバコを吸えるようになっています。想像ですが、裁判所書記官に喫煙者が一定数いるからだと思います(笑)。調停の待ち時間にイライラしたらどうぞ。

Q5:家庭裁判所に食堂はありますか?

A5:そもそも家裁で食堂を探さないのでよくわかりませんが、大阪家裁にはあります。
 それなりにおいしかったような記憶もありますので、是非一度トライしてください。

Q6:ガムや飴を食べるのはまずいですか?

A6:調停委員の前ではやめて下さいね!しかし、待ち時間は大丈夫です。弁護士の中には、自分が話をしている最中にガムを噛まれると腹を立てる人もいるので要注意ですが、私個人は調停の待ち時間にちょっと事件の話をする程度の場合にガムを噛まれても特に何とも思いません(事務所で真剣に打ち合わせをしている最中にやられると嫌ですが)。待合室ならばジュースも飲んでください。裁判所の中に自販機が設置されている場合は市価より安いですので。

Q7:調停の待ち時間が憂鬱です。飲み食い・タバコ以外に何をしましょう・・・?

A7:待合室で本を読んだりするのはかまいません。雑誌でも漫画でも、ゲームでも(音さえ出なければ)いいように思います(大津家裁には古いファッション雑誌が置いてありました)。別にそれどころじゃない、という方が多いと思いますが。

Q8:調停室はどうなっていますか?

A8:調停室は、たいてい狭い部屋で、四角い机のまわりに4~6人程度座れるように椅子が置いてあります。前に男女の調停委員が1名ずつ座っています。事件によっては、サイドや中央に書記官や調査官が座っています。

Q9:調停はどのように進行しますか?

A9:「申立人30分→相手方30分」をワンセットと考えたときに、これを2セット、すなわち2時間やるのが調停1回分です。もっとも、相手の話が極端に長くて1時間待たされた、ということもしょっちゅうです。これを何度もやって話し合いを進めるわけです。

Q10:調停期日を入れたけど、その日に急用が入ってしまいました。どうしましょう?

A10:弁護士にご連絡下さい。弁護士がついていれば、通常は弁護士のみの出席でOKです。また、弁護士を代理人にしていない人は、裁判所に連絡しましょう。度々欠席するようでは怒られますが、どうしても出席できない場合に1回くらいは・・・と思います。

Q11:弁護士に代理人になってもらったら、僕は黙っていても大丈夫ですか?

A11:喋ってください(笑)。弁護士のスタイルもあるのでしょうが、私は、少なくとも事実関係については依頼者の方に話していただいています。私の知らないこともありますし、そもそも私が話すと、調停委員が「お前には聞いてないよ!」という顔をするんですよね。緊張のあまり話せなくなったであるとか、話が脱線してきたとか、そういう場合には私が交通整理や軌道修正をしますので、事実についてはご本人が語ってください。無口な方、口下手な方には助け舟を出します。

Q12:調停で話をするコツは何ですか?

A12:調停委員が質問をしますので、聞かれたことに対して簡潔に答えるようにしてください。的外れの回答はいけません。なお、相手方の主張について批判などをするときは、多少感情的になるのはやむを得ないのですが、内容まで感情的にならないように気をつけて下さいね。上にも書きましたが、私が横で聞いていて、あなたのお話にまとまりがないと思ったら整理します。感情的だなあと思ったら、論理的に構成し直します。
 補足ですが、調停委員はなぜか、「ない袖は振れぬ」という言葉に弱いように思います(笑)。
調停委員「奥様が、養育費が3万円では足りないので、5万円にしてほしいと言っています。」
男性「支払いたいのはやまやまですが、給料も下がったので、ない袖は振れません。」
調停委員「そうですよね~。仕方ないですよね。」
 こんな感じです。もっとも、算定表を見て、そこから割り出される養育費や婚姻費用を大幅に下回る額をあなたが支払っている場合には、この呪文は聞きません。やや下回る額を支払っている場合には、なぜ払えないのかを客観的証拠(例:ローンの返済表)を示して語る必要があります。ポイントは、①支払いたい気持ちはある、という態度を示すこと、②客観的証拠を示して、本当に払えないことをアピールすること、です。

Q13:先生、早く離婚させてください!

A13:私は、最近依頼者の方に、「離婚はねばい人の勝ちですよ」とよく言っています。何でもいいから早く調停・訴訟を終わらせたいと思うと、気が付いたら不利な条件を飲んでしまっているケースが非常に多いです。
 もっとも、監護者指定審判・子の引渡し審判(およびそれらの仮処分)の申立てなどは早いほうがいいですし、早く離婚したい事情があるならば話は別ですが、基本的に落ち着いて粘り強くやったほうがいいですよ。

Q14:調停調書ができたのですが、内容に問題があります。それは、ここと、ここと、ここと・・・(以下省略)。

A14:一旦調停が成立してしまうと、それを覆す手段は基本的にありません。そうならないように、しっかり調停に取り組んで下さい。また、裁判所書記官や裁判官は、調停調書に複雑な条項を盛り込むことを嫌います。双方に代理人のいる事件であれば、「そこのところは代理人同士で分かっているはずなので書きませんよ!」としばしば裁判官に言われます。後で、相手の弁護士から調停のときと違うことを言い出すケースは通常ありませんので、その辺りはあまり心配なさらないでください。

Q15:弁護士には2種類あるのですか? (調停室にいる年配の弁護士を指さしながら)あの人はバッジが銀色なのに、太田先生は金色です。

A15:去年かおととしにそれを言われて以降、あんまりバッジをつけないようになりました(笑)。
 弁護士のバッジは実は銀でできていて、金メッキを施しているので、年数が経つと銀色になる。それだけのことです。ちなみに、バッジが銀色の人でも離婚問題が得意な人とそうでない人がいます。私は、家でこっそり古い歯ブラシに歯磨き粉をつけて磨いたので薄い金色のバッジですが・・・現在、下手をすると週5日のうち4日は家庭裁判所に行く、ということがあります(実話)。おそらく、事件数だけなら同期に勝っており、ややもすると中堅弁護士なみではないかと考えています。相手が銀バッジの代理人を連れてきても、それだけで怖がることはありません。