すっかり涼しくなってきましたが、今週もよろしくお願いいたします。

 さて、最近離婚事件で23条照会を依頼されることが増えました。「なんか、弁護士って普通の人が調べられないことも調べられるんでしょ?」とよく聞かれますが、この場合の「普通の人が調べられないこと」とは職務上請求か23条照会のことですよね。

 職務上請求で何ができるかというと、住民票や戸籍、外国人登録の記載事項証明書が取れます。まあ、これは単に申立てに必要だから取る場合が多いです。住民票や戸籍は夫婦であれば取れますので通常は依頼者の方に取って来ていただきますが、別居していて住所のある配偶者の方のケースだと職務上請求でやっています。

 23条照会、これは弁護士会にお願いして色々な官公庁・企業なんかに質問したりお願いしたりするものです。答えてもらえない場合もあるのですが、ホントは正当な理由がない限り回答義務があるのですよ。

 東京高裁平成22年9月29日判決は画期的なもので、郵便局の転送届について、郵便局(正確には郵便事業株式会社)の回答義務を認めました。
 この判決のオモロイところは、最後の方に、「当裁判所としては、被控訴人に対し、この判決を契機として、本件照会に改めて応じて報告することを要請したい。また、さらに、新住居所という転居届に記載された情報に関しては、本判決の意のあるところを汲み、二三条照会に応ずる態勢を組むことを切に要請したいと考える。」なんて郵便局を説得しているところです。今までは、答えてくれないからといって初めから諦めていたのですが、これからは答えてくれるのでしょうか? 

 やはりご依頼の中で多いのは携帯電話会社に23条照会をかけることでしょうか。電話番号やメールアドレスから契約者やその住所、固定電話番号なんかが分かります。ただし、これも注意が必要で、ある会社だけ答えてくれません。白いワンコのCMの・・・です。この間ネットで見ましたが、ここは裁判所の照会(文書送付嘱託か調査嘱託ですかね)にも回答拒否したので、ついにおばあさんに訴えられてしまいました。個人的に注目の事件です。おばあさん、ファイト!

 あと、自動車のナンバープレートから自動車の持ち主を調べるというのもありますね。
 通常は放置自動車対策に使う(持ち主を調べてどけさせる)ことが多いと思いますが、不貞相手の情報が車しかないような場合にはやってみてもいいでしょう。他にも、アパートの一室に嫁が出入りしているけど、その部屋に誰が住んでいるのか分からないという場合、管理会社(アパートによく看板が出ています)に23条照会をかけるのも一手ですね。

 最近ネットで見て一番「これは!」と思ったのは、ホテルへの23条照会です。日にちや時間等が特定できれば、異性と一泊したかどうかなんか回答してもらえるようです。

 そういうわけで、弁護士が普段は思いつかないような23条照会の利用方法がまだまだあると思います。
 先日、まだ具体的な内容は言えませんが、配偶者の不貞相手の職場を特定する画期的な方法を依頼者の方が発案されました・・・聞いたときは本当に驚きましたが、それはアリだな、と思いました。ちなみに職場を特定するのは、当然給料の差押えのためです。職場に行ってイヤガラセしてはいけませんよ!

 たぶん、一般の方々のほうが発想が柔軟なんだと思います。ですので、「ここに聞けば、これが分かるんじゃないか?」なんてアイデアがあったら、是非弁護士に相談してみてくださいね。弁護士も大喜びです。別のケースでも使わせていただきますので(笑)。

弁護士 太田香清