こんにちは。もう8月も終わりに近づいていますが、まだまだ暑い日が続きますね。

 今回は、離婚をするにあたり家庭裁判所で決められた養育費や慰謝料等について、支払われなくなった場合、相手に払わせる方法についてお話ししたいと思います。

 今回は強制執行以外の簡易な方法として、履行勧告と履行強制についてご説明いたします。

1 履行勧告

 履行勧告とは、権利者(養育費や慰謝料等を受け取る人)の申し出によって、支払いを遅滞している義務者(養育費や慰謝料等を支払う人)に対して、どのように決められたことを実行しているか必要な調査をしたうえで、正当な理由なく義務を果たさない義務者に対し、その義務を自発的に履行するように助言、指導、催促をするという方法です(家事審判法15条の5)。

 履行勧告は、強制的な措置ではなく、あくまで義務者の自発的に義務を履行させるように促すものです。

 履行勧告をするためには、「履行の調査・勧告の申出書」に必要事項を記載して、家庭裁判所に申立てをします。費用は無料です。

 履行勧告は、電話や書面により義務者に履行を促すように連絡します。これに対して、義務者は支払いが遅れている事情等を伝え、分割で支払うなどの調整がとられることもあります。ただ、全く支払えないという回答であれば、それ以上の強制的な手段がとられることはありません。

 なお、履行勧告は、財産的な給付を目的とする場合に限らず、子の引渡しや面会交流等にも利用できます。

2 履行命令

 履行命令は、履行勧告よりも強力な手段です。履行勧告にも応じないで決められたことを実行しない義務者に対し、一定の期間を定めて、その期間内に義務を履行するように命令する方法です(家事審判法15条の6)。

 正当な理由もなくこの命令に従わない時は、10万円以下の過料に処することができます。

 履行命令をするためには、「履行命令の申立書」に必要事項を記載して、家庭裁判所に申立てをします。

 履行命令は、履行勧告と異なり、財産上の給付を目的とする場合に限られますので、子の引渡しや面会交流には利用できません。

 次回は、強制執行についてお話しようと思います。