4.嫁姑の不仲に関する裁判所の判断の違い
裁判例①も裁判例②も、夫の親と妻とが不仲である点、夫には婚姻関係を修復する意思がない点では共通しています。
それにもかかわらず結論を異にしたのは、時代背景や事案の細部が異なっていることの影響も考えられますが、裁判例①では妻にも婚姻関係を修復する意思がなく、自ら離婚を請求しているのに対して、裁判例②では妻の方には婚姻関係を修復する意思があり、夫さえその気になれば婚姻関係修復も期待できたことにあるのではないでしょうか。
なお、裁判例には、裁判例②類似の事案で、さらに姑の嫁いびりに夫も加担していたという事案について、有責配偶者からの離婚請求にあたるとして、別居状況、子の状況等をふまえると離婚は認められないと判断したものもあります(東京高裁平成元年5月11日判決)。