12月15日にアップした、「Q&A 離婚時年金分割制度(1)続き」で、年金分割の請求期間について、合意分割の請求期間は、原則として離婚後2年以内、3号分割は請求期間を制限する規定がないため制限がないと説明しましたが、「どちらも原則として離婚後2年以内の請求制限がある」の誤りでした。
 ここに訂正するとともに、お詫びいたします。

 実は、先日、本ブログの読者の方から、合意分割も3号分割も請求期間は2年ではないのかというご質問とともに、日本年金機構のホームページに「3号分割改訂請求の請求期限は、原則として離婚日等の翌日から起算して2年」と記載があるとのご指摘頂きました。

 そこで、日本年金機構、年金事務所等に問い合わせましたところ、3号分割についても期間制限があるとの回答を得ました。

 根拠となる条文は、厚生年金保険法78条の14第1項ただし書が引用する厚生年金保険法施行規則78条の17第1項2号イ及びロです(下掲)。

 離婚時年金分割制度に関する本やインターネットの情報の中には、3号分割については請求期限がない、あるいは、請求期限の規定がない、と書かれたものが散見されますが、3号分割についても離婚日等の翌日から起算して2年の期間制限がありますのでくれぐれもご注意ください。

 3号分割の期間制限についてこのような混乱(誤った情報)が見られるのは、社会保険六法に上記条文が掲載されたのが、平成21年度からで、3号分割が施行された平成20年度版には請求期限の規定が未だなかったためではないかとのことでした。

 今回、誤りに気付いてご連絡を下さったAさんには、この場を借りてこころから感謝いたします。本当にありがとうございました。

 ブログに対する質問やアドバイスを、これからもどうぞお寄せ下さい。

参考
厚生年金保険法第78条の14第1条
被保険者(特定被保険者)が被保険者であった期間中に被扶養配偶者を有する場合において、当該特定被保険者の被扶養配偶者は、当該特定被保険者と離婚又は婚姻の取り消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるときは、厚生労働大臣に対し、特定期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定および決定を請求することができる。ただし、当該請求をした日において当該特定被保険者が障害厚生年金の受給権者であるときその他の厚生労働省令で定めるときは、この限りでない。
厚生年金保険法施行規則第78条の17第1項
法第78条の14第1項ただし書に規定する厚生労働省令で定めるときは次の各号に掲げる場合とする。
2号 次のイからハまでに掲げる日の翌日から起算して2年を経過した場合。
イ 離婚が成立した日
ロ 婚姻が取り消された日
ハ 婚姻の届出をしていない事実上婚姻関係と同様の事情にあった特定第78条の14第1号に掲げる場合(被保険者及び被扶養配偶者について、当該被扶養配偶者が第3号被保険者としての国民年金の被保険者の資格を喪失し、当該事情が解消したと認められる場合)に該当した日

弁護士 石黒麻利子