離婚をする場合に、財産分与について定めても、その後相手方が払えないとして破産手続きをとってしまったらどうなるのでしょうか。

 財産分与請求権は、相手方が破産した場合、破産法上は原則として「破産債権」という権利として扱われます。破産債権が破産の手続きにおいてどのように扱われるかというと、破産者、つまり相手方に配当すべき財産がある場合にその配当によって弁済を受けることができる、ということになります。つまり、相手方に配当すべき財産がない場合には、全く弁済を受けられなくなってしまいますし、配当すべき財産があったとしても、他の債権者の債権額との割合によって配当を受けられるにすぎないということになってしまいます。

 なお、相手方の破産前に財産分与として金銭等の支払いを受けることができたという場合にも、財産分与としては不相当な額が支払われた場合には、相手方の破産手続きにおいて、既になされた財産分与分を戻さなければならないということもありうるので、注意が必要です。

 では、相手方が婚姻中不貞行為に及んだとして、離婚の際に慰謝料を定めた場合は、その後に相手方が破産手続きをとったとき、その破産手続きにおいてどのように扱われるのでしょうか。

 この場合も、残念ながら、単に慰謝料だからといって、必ずしも免責されない債権、つまり相手方が破産しても請求できる権利であるとは限りません。慰謝料請求権のような不法行為債権について、破産法は、破産者が「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」及び、人身被害について「故意又は重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権」は免責されないと定めるにすぎないのです。そこで、人身被害でない慰謝料請求権については、慰謝料請求権の内容が「悪意」によるものといえる場合にのみ、相手方が破産した後も請求できる権利となるのです。

 「悪意」の解釈について述べておきますと、裁判例によってもはっきりしないところがあるようですが、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な意欲をいうとする裁判例もあり、全ての不法行為があてはまるわけではないようです。

 したがって、不貞、暴力、性交渉拒否など慰謝料の発生原因ごとに考え、「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」といえる場合には相手方の破産後も請求できる権利となると考えられます。