離婚に対して抵抗感を持っている人も少なくないと思われます。今回は、離婚ってどれくらいあるのかを、厚生労働省が発表している統計に基づいてみていきたいと思います。

 昔は離婚に対するイメージは良くなかったと思います。昭和25年から昭和42年までは7万組から8万組の間を推移していましたが、その後増加傾向となり、一時減少した時期はありましたが、平成20年には25万1000組が1年間に離婚しているようです。ピークは平成14年の29万組でした。しかも、昔はある程度の別居期間を経てから離婚に至ることも多くありましたが、平成20年現在では、別居した年にすぐに離婚しているというのが離婚全体の73%も占めています。

 このような数字をあげても良く分からないかもしれませんが、平成20年現在、日本の人口は約1億2594万7000人ですから、1000人に2人の割合で離婚している計算になります。1000人に2人の割合で離婚というと、随分少ないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の人口と比較してですから、つまり結婚できない年齢の人も含む人数を対象にしているから少なく思われるのでしょう。

 では、このように説明したら、どうでしょうか。近年の1年間の婚姻件数は、1年間に70万組強です。その年に結婚した人たちが離婚しているわけではないので、このような計算方法はおかしいかもしれませんが、婚姻件数との比較で行くと、その年に結婚した組の35%は離婚していることになりかねません。

 このように説明すると、多く思われるのではないでしょうか。

 なお、離婚には様々な方法があります。当事者間の協議でおこなう協議離婚と、裁判手続による裁判上の離婚があります。裁判上の離婚には、調停離婚、審判離婚、和解離婚、判決離婚とありますが、離婚の中で一番件数が多いのは協議離婚であり、平成20年では離婚のうち87.8%を占めています。でも、逆にいえば1割以上は裁判上の何らかの手続を利用しているのです。

 また、87.8%のうち、弁護士に間に入ってもらって協議離婚を成立させる場合もあるでしょう。さらに、協議離婚は形式的にしたけれども、その後、離婚時に離婚後のことを全然決めていなかったために、紛争が生じて弁護士に相談に来られる方もたくさんいらっしゃいます。

 私は、離婚することを勧めるわけではありませんが、離婚をすることも、世間的には多くなってきており、後ろめたく思われる必要はないということをお話ししたくて、統計を見てみました。婚姻関係について、悩まれることがありましたら、気軽に弁護士にご相談いただいたらよろしいかと思います。離婚を決意していなくても大丈夫です。弁護士に相談し、裁判手続を経て、お互いの不満を言い合うことでやり直せた方々もいらっしゃいますのでね。

弁護士 松木隆佳