従業員と返済計画についてよく話し合う

 ただし、前借金であっても、従業員に対する労働の強制ないし身分的拘束の手段とならない友誼的な性質のものであれば当該規定には違反しないと考えられています。そのため、会社が従業員からの給料の前借りの希望に応じる場合は、返済計画等について従業員と話し合い、従業員が翌月分以降の給料からの相殺を希望するのであれば、従業員の任意に基づく相殺希望があった旨を客観的に証明できるよう、書面等に残しておくことが重要と考えられます。

 なお、会社は一定の手続をとれば従業員貸付制度を構築できます。従業員貸付制度によって給料の前借りを処理すれば、給料の前借りによって生じるトラブルを防止しやすくなります。従業員から給料の前借りを求められることが多い場合は、弁護士等の専門家の助言をもとに、従業員貸付制度の構築等を検討することをお勧め致します。