返済方法について問題が生じる可能性

 もっとも、いったん給料の前借り希望に応じて給料相当額を支給する場合、その返済方法を巡って労働法上の問題が生じることがあります。すなわち、労働基準法17条は、「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」と規定しています。給料の前借りは、賃金相当額を会社が従業員に貸し付け、翌月分以降の給料と相殺をするという構造になりうる為、「前借金」に該当してしまう可能性が高いといえます。そのため、使用者の側から一方的に翌月分以降の給料と相殺する場合、労働基準法違反となる可能性が生じます。なお、当該違反には、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金という刑事罰が予定されています(労働基準法119条1項1号)。