被疑者が逮捕され、勾留されるとともに、「接見禁止処分」が付される場合があります。接見禁止処分に付されると、家族や友人との接見は一切禁止され、被疑者は弁護人と警察官、検察官以外の人間と最大20日間もの間会えなくなってしまいます。
このような接見禁止処分は、容疑を否認している場合や、共犯者がいる場合、暴力団がらみの犯罪等の場合に、誰かと接触することによって証拠隠滅の恐れがある、とみなされたときに付されることが多いようです。
この接見禁止処分を争うには、弁護人の存在が不可欠と言えます。
まず、勾留そのものや接見禁止処分そのものについて、準抗告を申し立てて争う手段があります。もちろん、裁判所としても、証拠隠滅の恐れがあり、接見禁止処分の具体的必要性があると認めたうえで処分をしているのですから、この処分が容易に覆ることはないというのは事実です。しかし、接見禁止処分を受け、一日中誰にも会えずに、外の情報から一切遮断された狭い留置場に閉じ込められた被疑者は、想像以上に辛い思いをしています。弁護人としては、準抗告が認められなかったからといって、すぐにあきらめてはいけません。
配偶者や近親者、会社の関係者など限られた人に限っては、犯罪事実と関係がないので証拠隠滅の必要性はないし、接見する必要がある、と主張して接見禁止の一部取消を申し立てたり、特定の事柄を話し合うため、1度だけ接見させてほしいと接見禁止の一部解除を申し立てたり、会社の経営について話し合うため、特定の人との手紙のやりとりを認めてほしい、と一部解除を申し立てるなど、できる限り接見禁止を緩和できるように試みるべきでしょう。
弁護士 井上真理