被疑者や被告人が、身柄拘束(逮捕・勾留)された場合に、その被疑者や被告人は、立会人なく弁護士と接見できます(刑事訴訟法39条1項、憲法34条)。特に、被疑者との初めての接見は、被疑者が自分の権利を知り、捜査がどのように行われるかの心構えや覚悟を持つ極めて重要な機会となります。弁護士は、そのことを理解したうえで、被疑者と接します。

初回接見において実際にどのようなことが行われるかを書いてみます。

弁護人となろうとする者という立場で警察の留置場や拘置所へ弁護士が向かい、接見室へ入ります。その後、被疑者が接見室へやってきます。被疑者と弁護士との初対面の場面です。場合にもよりますが、私は、できるだけ丁寧に挨拶をするようにしています。多くの被疑者は、挨拶を返してくれます。

この次に、自分が誰なのか、どうしてここに来たのかを伝えたうえで、ここでの話は、外部には漏れないことも伝え、被疑者の味方であることを理解してもらうようにします。

この次が緊張する場面で、事件についてどの切り口で話し始めるのか悩みます。相手のタイプにもよることなので、「どうして、警察の捜査がされているか心当たりありますか?」と聞くことが多いです。誘導してしまうと、どうしても、捜査機関側の情報をもとに質問してしまい、被疑者との間に壁ができてしまうような気がするからです。
なるべく自由に話してほしいと考えています。その中で、逮捕に至った経緯を広く聞き取ります。
そのうえで、刑事手続きの流れ、自分がどの場面にいるのか、被疑者のためにどのような制度があるかなどを説明します。

次に、警察官の名前やどんな人物かも聞き、そのうえで、どんな捜査がされたのか、特に取調べの有無を確認します。

取調べがまだされていないようであれば、取調べのための心構えを話します。黙秘権等の権利の告知やいかに取調べが巧妙に行われるか、如何に供述調書が重要であり、決してあいまいな状態で答えたり、安易に迎合してはいけないことなどを具体的に話します。取調べは、ほんとに巧妙で、現在も違法な取調べは横行しており、「弁護士の言うことを聞いてたら保釈できないぞ」などと、弁護士との信頼関係を築かせないようにすることは当たり前です。初回接見時に伝えたやり方と同じやり方の取調べが行われ、第2回目の接見時に被疑者から信頼されるということもよくあります。
多くの場合、何らかの初回接見の時には何らかの取調べが行われた後なのですが、家族が突然逮捕された直後に、ご親族からご相談をいただき、即座に留置施設へ接見へ行った場合などであれば、取調べ前ということもありえます。

残念ながら取調べが済んでしまっていた場合には、その内容を詳細に聞き取ります。ここから、余罪について警察が何かつかんでいるかどうかがわかることもあります。余罪があれば再逮捕の可能性があり、身柄拘束期間は長くなってしまいます。
そのうえで、取調べではどうしておくべきか、丁寧に伝えます。

次に、住所や職業、親族の有無や関係、住居の状態、賃貸であれば賃料の支払い状況、賃料を立て替えてくれるような親族や友人がいないかなどを確認し、急を要するような事柄がないか確認します。

最後に、親族等心配している人への連絡を含め、何をしてほしいか、困っていることはないかなどを確認します。ここで、色々連絡してあげたいことも多いのですが、弁護士が伝書鳩になって、証拠隠滅に加担することの無いようには注意します。

以上のようなことを初回接見で行い、弁護人として選任されることになれば、弁護人選任届を差し入れ、晴れて被疑者の弁護人となります。

初回接見のイメージとしてはざっと以上のような感じです。