先日、ある女性から、急な法律相談の依頼がありました。
その日の朝早く、突然警察官が家にやってきて、
同棲している彼氏が逮捕されてしまったとのこと。
どうしたらいいか分からず、とにかく弁護士と話がしたいということで、
事務所に電話をかけてこられた、とのことでした。

この女性からの相談を受けるにあたって気になったのは、
「弁護人選任権」についての問題でした。
というのも、刑事事件において弁護人としての活動を行うためには、
弁護人として選任してもらい、「弁護人選任届」、
通称「弁選」と呼ばれる書類を捜査機関に提出しなければなりません。
そして、弁護人を選任することができる人は、法律で、
本人の配偶者や直系の親族・兄弟姉妹などに限定されているからです。
彼氏や彼女などの交際相手はもちろん、内縁関係にある相手でも、
自分自身の判断だけで弁護人を選任することはできないのです。

もっとも、そのような方から相談を受け、「弁護人になろうとする者」として
本人が身体拘束を受けている施設で面談を行うことはもちろん可能です。
むしろ、ご自身で弁護人を選任することができる方からの相談であっても、
弁護人となるに先立って、本人の面談を行うことも少なくありません。
弁護人は、犯罪の嫌疑が向けられている被疑者の権利利益を護るための存在です。
そのためにも、弁護人が本人と良好な関係を築くことは必要不可欠だからです。

前述の事件では、本人のお母さんが別途弁護士に依頼されていたことがわかり、
私が実際に接見に行くことはありませんでした。そのような事情がなければ、
相談を受けた後、私は可及的速やかに刑事施設へ接見に赴いたでしょう。

先述のような弁護人選任権にかかわることは、さしあたっては後から考えるべき問題。
突然の身体拘束を受け、困惑しているであろう本人と一刻も早く話をすることが
その後の捜査や公判を念頭に置いたときにいかに重要かは、このブログでも
再三触れられているところです。

身近な人が突然逮捕されてしまったら。
事態は一刻一秒を争います。迷わず速やかに弁護士にご相談ください。