こんにちは。朝晩涼しくなってきましたね。
本日は、被疑者段階の接見において、弁護人が被疑者と何を話すのかということについてお話しします。

まず、当然ですが、どういう犯罪行為をしたのかということを聴き取ります。弁護人としては、犯罪の内容を知らなければ、弁護の方針が立ちませんし、どのような処分がなされるかという見通しが立ちません。また、被疑者としては、とくに身柄拘束直後だとパニックになっていて、自分が一体何をしたのか、詳しく思いだせなかったりする人もいます。しかし、弁護人と話をする中で、自分が何をしたか、順を追って思い出し、記憶を整理することができたりします。

次に、検察官の取調べに対してどのように受け答えしたらよいのかということを話しあいます。基本的には事実関係をたんたんと述べればよいのですが、普段から、事実関係をたんたんと述べるなんていうことはしていない人が多いと思います。事実と感情の区別ができない人は多いですし、話さなくてもいいことを話してしまったりする人もいます。刑事事件では、被疑者の事実認識の程度が問題になってくることもあります。話さなくてもいい事実を誇張して話してしまったがために、裏目に出るということになりかねません。嘘を話すべきではありませんが、話すべきことと話さなくてよいことの区別は必要です。

さらに、被害者との間で示談が必要な場合は、被害者に対してどのように謝罪をするか、ということも相談します。ここでも、犯罪行為の内容を弁護士が正確に理解していないといけないので、最初に犯罪行為の内容をよく確認するということが生きて来ます。被害者は犯罪行為の詳細を知っている一人ですから、ごまかしはききません。示談の最中に、弁護人が、被害者の前で、「えっ、そうなんですか?知りませんでした。」という態度になってしまうと、被害者の感情を逆なでしてしまいます。もちろん弁護人としてはそのような態度は表に出さないようにしますが、予定していた示談の説得の仕方を変更しなければならなくなり、示談に手間取ったりしてしまいます。

被疑者段階の接見は、基本的に、証拠を見ることができない中で行われます。弁護人として初期段階にとるべき行動を決めるのは、接見で被疑者から聴き取る情報だけだったりするので、被疑者も弁護人も有効に活用しなければならないものだと思います。