こんにちは。今回は、人身傷害補償保険についてお話したいと思います。
人身傷害補償保険とは、平成10年に、現在の東京海上日動火災保険株式会社が発売したものであり、内容としては、加害者の賠償責任の有無にかかわらず、被害者が契約した保険会社から、保険金の支払いを受けられる点に特徴があります。
人身傷害補償では、自損事故や、歩行中の事故、不可抗力による事故、加害者が保険に加入しておらず、支払い能力がない場合でも保険金が受け取ることができ、また、例えば、加害者と過失割合で争いが生じており、示談が成立していなくても支払いを受けられるため、加入者の迅速な救済が可能となります。
損害の項目としては、休業損害、積極損害、逸失利益等、加害者に請求する場合とほぼ同様の項目が認められています(但し、慰謝料は、精神的損害という項目になっています。)。そして、損害の程度によって、支払われる保険金の額が変わり、人身傷害補償保険は、実際の損害額を補償するものとなっています。
もっとも、損害額については、保険会社の約款に基づいて算定され、通常、裁判所基準(通称「赤い本」)よりは低額に定められています。例えば、後遺障害慰謝料の金額について、赤い本の基準だと、1級で2800万円ですが、東京海上日動火災保険株式会社の約款には、1600万円と定められており、赤い本の6割程度の金額となっています。
これでは、実際の損害額を補償するといっても、実質的に一部しか保証されていないと捉えられるかもしれません。
また、多くの人身傷害補償保険では、加入者の故意(補償を受けられる方の故意または重大な過失によって、補償を受けられる方に生じた損害)、飲酒運転(無免許運転や酒気帯び運転によって、運転者本人に生じた損害)等、保険金が支払われない場合があるので、注意が必要です。