1 信号機による交通整理の有無と基本過失割合
交差点における交通事故では、信号機の有無により、基本過失割合が区別されています。
皆さんご承知のとおり、車両も歩行者も、信号機の表示には従わなければなりません(道交法7条)。また、信号による交通整理は、円滑な道路交通の要です。そのため、信号表示に対する違反等は、過失割合でも大きく考慮されています。
他方、信号機による交通整理が行われていない交差点は法律も想定しており(道交法36条2項、3項)、現実に、そのような交差点は住宅地等でよく見られるところです。
信号機による交通整理が行われていない交差点の場合、道路の優先関係の有無や幅員、一時停止規制の有無等の道路状況と事故態様ごとに基本過失割合が区別されています。
2 点滅信号交差点の取扱い
以上を前提に、点滅信号の取扱いについて説明します。信号機の表示の意味については、道交法4条4項が「政令で定める」と規定しており、これを受けて、それぞれ、道交法施行令2条が各種信号表示の意味について定めています。黄色点滅は注意、赤色点滅は一時停止(ただし、歩行者は注意して進行)という、教習所でおなじみのルールは、これに基づくものです。
判例は、点滅信号付交差点の性質について、交通整理の行われていない交差点であると判示しています(一方が黄色点滅、他方が赤点滅につき、最判昭和44.5.22判決、刑集23巻6号、双方黄色点滅につき、最判昭和48.9.27判決判時715号112頁)。
これらは刑事事件の判例ですが、民事交通事故訴訟の裁判例でも、点滅信号は、道交法上の交通整理に当たらないとして、信号機による交通整理が行われていない交差点の基本過失割合を前提に過失割合が判断されています。