3 一方が黄色点滅、他方が赤点滅の交差道路間事故の場合

 車両は、赤色点滅信号につき、一時停止しなければなりません(道交法施行令2条、道交法4条4項)。そのため、基本過失割合としても、一方に一時停止規制がある場合を参考にすることになります(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準207頁、335頁)(参考裁判例、名古屋地裁平成15.3.28判決等)。

 他方、黄色点滅信号そのものに徐行義務は課されておらず、「他の交通に注意して進行することができる」とされています(道交法施行令2条、道交法4条4項)。
 しかし、交通整理の行われていない交差点で左右の見通しがきかない交差点では、原則徐行義務が課されています(道交法42条1号)。したがって、このような交差点では、黄色点滅信号側が優先道路でない限り、徐行義務があることを前提に過失割合を検討することになるでしょう。
 この点を明確に判示している裁判例の一つとして、名古屋地裁平成23.4.1判決を紹介します。

「赤色点滅信号、黄色点滅信号は、交互に一方の交通を止め他方の交通を通す方式にあてはまらないので道路交通法にいう「交通整理」に当たらないと解され、また東西道路は優先道路ではないところ、本件交差点は前記認定のとおり見通しが悪いから、原告花子は、本件交差点に進入するに際しては、徐行すべき義務があった(道路交通法42条1号)」

 上記裁判例は、赤色点滅信号側車両も一時停止等を怠っていた事案であり、結論として、(黄点滅側)20:(赤点滅側)80の過失割合を認定しています。これは、「信号機による交通整理の行われていない交差点で、一方に一時停止規制があり、双方減速なし」の場合の基本過失割合と同じ割合です(別冊判例タイムズNo.38、民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準221頁)。