こんにちは。
今回は、高速道路上で停車した自動車の近くにいた歩行者に後続自動車が衝突したという事故を例にして過失割合について考えていきたいと思います。

 まず、過失割合を検討する際の出発点として、「別冊判例タイムズ第16号」を確認します。この本は、過去の裁判例を集約し、事故の類型ごとに約270種類もの類型の過失割合を紹介しているものであり、弁護士のみならず、保険会社の担当者も過失割合の検討に利用しているものです。

 この本によると、高速道路上における停車自動車付近にいた歩行者と後続自動車との衝突事故は、歩行者40%、後続自動車60%の基本過失割合となっています。そのため、後続自動車は、歩行者に生じた損害のうち60%を賠償する責任が生じることになります。

 高速道路の利用に関する規制を定めた高速自動車国道法の第17条第1項では、「何人も…高速自動車国道を自動車による以外の方法により通行してはならない」と規定しており、歩行者が高速道路上を往来することは禁止されています。

 しかし、高速道路上で自動車が故障し停車した場合は、その自動車の運転者は「当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない」という規定もあり(道路交通法第75条の11第1項)、停車している自動車がある場合には、その付近で停止表示器材等による表示をしようとしている歩行者がいることを後続自動車の運転者には予測しうるものと考えられています。

 このような考え方から、過失割合が歩行者40%、自動車60%とされているのです。

 その上で、夜間や雨天等の場合は、後続自動車が前方の故障車及び歩行者の発見が容易ではないと考えられますので、自動車の責任が10%減縮されます。

 また、実際の過失割合の検討においては、事故状況を精査して、歩行者及び自動車のそれぞれに著しい過失または重過失といえる事情があるかどうかを検討することになります。それぞれに著しい過失または重過失があれば過失割合は10%から30%変動することとなります。

 以上が、高速道路上の歩行者と後続自動車との衝突事故を例にした過失割合の検討の手順です。これは、あくまで基本的な考え方であり、実際の過失割合は事故状況のみならず交渉経過等によって変動することもありますので、参考程度にお考えください。

弁護士 古関俊祐