このため、例えば、前回事故で14級該当となった後、今回事故で再度同一部位に14級相当の後遺障害が残った場合、等級表上は後遺障害の程度が重くなっていないため、自賠法上、新たな後遺障害として評価してもらえず、14級の場合の保険金(75万円)も支払われないことになります。

 また、前回事故で14級、今回事故で12級に該当した場合であっても、12級の保険金が満額支払われるわけではありません。

 すなわち、自賠責保険では、今回事故の後遺障害に対応する保険金額(12級なら224万円)から、前回事故の後遺障害に対応する保険金額(14級なら75万円)を控除した残額(224万円-75万円=149万円)の限度で支払いがなされることになります。 なお、慰謝料についても、今回事故の後遺障害等級(加重障害)に対応する慰謝料額から、前回事故の後遺障害等級(既存障害)の慰謝料額を差し引いた額の限度で支払いがなされることになります。

 このように、加重障害(既存障害)は、特有の問題を孕んでいます。
 つづきは、また次回お話しします。