例えば、前回事故によって、頸椎捻挫で14級に該当したところ、今回事故で頸椎捻挫が悪化し、画像所見等により12級相当の後遺障害が残った場合が、加重障害(既存障害)の問題に当たります。

 それでは、前回事故で負った後遺障害について自賠責の保険金が支払われている場合、今回事故で負った後遺障害についても、自賠責保険上の保険金を満額受け取ることはできるでしょうか。

 結論から言うと、少なくとも自賠法上は、満額受け取れる建前にはなっていません。

 まず、自賠法上、今回事故で負った後遺障害が、同法にいう「後遺障害」に当たるためには、今回事故によって新たに障害が加わった結果、等級表上、前回事故による後遺障害より重くなったこと=「加重したこと」が必要となります。