交通事故に遭い怪我をしたら治療をしますが、これ以上治療しても改善の見込みがない状態、すなわち症状固定になったときに、痛みが残ってたり、体が元の状態に戻っていない場合には、「後遺障害診断書」というものをお医者さんに作成しもらいましょう。

 ただし、この後遺障害診断書はお医者さんが作成するものですが、すべてのお医者さんが後遺障害診断書の書き方を知っているというわけではありません。なぜかというと、後遺障害診断書というのは、正式名称を「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」と言いまして、自賠責実務特有の診断書だからです。つまり、後遺障害診断書は、交通事故の患者さんのときだけに書く必要があるものなのです。

 そうすると、当然、交通事故の患者さんをあまり診察したことがないお医者さんは後遺障害診断書の書き方をあまり知らないということになり、そういうお医者さんの作成した後遺障害診断書では、後遺障害の認定が適切になされないという事態が起こりえます。

 私が以前担当した依頼者の方で、頚椎に後方固定術の手術を受けたにもかかわらず、後遺障害診断書を見たら頚椎の運動障害の欄に記載が一切ないというものがありました。頚椎の運動障害というのは、簡単に言えば、首の動く範囲が制限された状態にあることを言います。頚椎に後方固定術の手術を受けて、かつ、頚椎の運動障害が一定程度出ていると、後遺障害等級8級2号が認定されるのに対し、後方固定術を受けただけで、運動障害がないと後遺障害等級11級7号になってしまいます。

 8級と11級では、自賠責の後遺障害部分の賠償金でも500万円近く差があるため、私は、依頼者と一緒に医師の所に行き、頚椎の運動障害の測定をしてもらい、後遺障害診断書に記載してもらうようにしました。ただ、このときに、依頼者の主治医は、全く後遺障害診断書に追加の記載をしてくれようとせず、私に対して「君は医学のことは何も知らないだろう。」と言ってきました。私もこんなお医者さんに負けてられませんので、「医学のことは知りませんが、後遺障害診断書に書かなければならないことは知っています。」と反論して、後遺障害診断書に追加の記載をしてもらいました(実際は、もっと激しいやり取りがありましたが…)。

 このように、お医者さんだからと言って、適切な後遺障害診断書の書き方を知っているというわけではないので、遅くとも後遺障害診断書を書いてもらって、保険会社に提出する前に交通事故に詳しい弁護士に見てもらった方がいいと思います。

弁護士 竹若暢彦