こんにちは。長谷川です。
 急に涼しくなりましたね。
 私は秋が一番好きな季節なので、やっと秋めいてきてとてもうれしいです

 さて、離婚に際して、子どもの親権についてはしばしば大きな問題となります。
 そして親権争いが生じた場合に、子どもの親権をとりたいと考えておられる方々がよく勘違いされていることの共通事項に経済力の問題があります。

 すなわち、「私は夫より収入が少ないので親権はとれないのでしょうか。」とか「生活保護を受けているので親権はとれないと思っていた」といった具合です。

 確かに親権者になるということは、今後長いこと子どもを養育していかなければならないということですから、安定した経済力があるに越したことはありません。

 しかし、それが絶対的な決定要素ではありません。

 実際、私のお客様でも、生活保護を受けながら親権者になった方はたくさんいらっしゃいます(それどころか、判決書に「生活保護という公的保護が入っていることを考えると、今後、母子の経済状態が大きく崩れる恐れは少ない」などとして、親権を認めるのにプラス要素であるかのような書かれ方をした事案もあるくらいです)。

 また、判例を見ても、裁判所は、非親権者にも養育費の支払いという形で子どもの扶養義務は課せられる点を挙げて、親権者の経済能力の不足については、養育費の支払いという形で補うことも可能であるとして、親権者だけに十分な経済能力を要求していないという印象があります。

 従って、経済能力の有無は、親権を取得する上では、大きな決定要素にはならない、あくまでも親権決定要素の1つであると理解して頂ければ良いと思います。

 では、実務上、最も裁判所が重視している親権決定要素は何かと問われると、(あくまで私的な印象論ですが)従前の主たる監護養育者が誰かという点と監護の継続性という点だと思います。

 この点については、次回、またお話したいと思います。

弁護士 長谷川桃