暑い日が続いておりますので、水分補給には十分に気を使ってください。

 さて、今回は、「離婚をしたのですが、その後、実は配偶者が不貞行為をしていたことが分かりました。この場合、慰謝料を取れますか?」という問題について考えていきたいと思います。

 この問題については、どのように離婚をまとめたかによっても異なってくると思います。

 例えば、協議離婚により離婚届を提出して、慰謝料の金額を特に定め無かったような場合には、離婚が成立していても、離婚に伴う金銭上の問題は解決していないのですから、請求ができることになります。

 協議離婚や裁判上の離婚で、書面を作成している場合は厄介です。作成してある書面を見てください。「清算条項」というタイトルの条項はあるでしょうか。または、このようなタイトルが付いていなくても、「本件離婚に関し、お互いになにも請求しない。」という内容の条項や、「本件離婚に対し、お互いに債権債務がないことを確認する。」という内容の条項が入っていないでしょうか。この場合は特に厄介です。

 離婚に関する慰謝料というのは、離婚原因となった一方配偶者の個別具体的な行為によって生じた精神的苦痛に対する損害の賠償と、離婚により配偶者の地位を失うことから生じた精神的苦痛に対する損害の賠償と、両法を含むものであるとされています。離婚原因は、不貞行為に気付いていなかったということであれば、おそらく、違うところにあったのでしょう。そうすると、上記損害のどちらでもないようにも思われます。ただ、離婚原因は一つではなく、色々な事情が積み重なって離婚されるものであると思われます。後から分かったからといって、実は・・・として、後出し的に色々追加していっては、事件が一向に解決しなくなってしまいます。このような点も考えますと、請求できないという結論になる可能性が高いと思います。

 他方、書面を作成していても、上記内容の文言が入っていない場合には、すべてを解決したということにされていないわけですから、合意書がないときと同様に請求できます。ただ、この場合でも、合意した時の状況、内容等によっては、考慮されているとして請求できないこともありますので、注意してください。

 このように、結論としては、離婚した際に、慰謝料(解決金名目の場合もあります。)を定めていない場合を除いて、一回的に解決するということを考慮されて、後で不貞していたことが分かっても請求できない可能性が高いと、私は思います。

 ただ、事案によっては請求できることもあるでしょうから、お気持ちが治まらない方は、弁護士に相談してみてください。

弁護士 松木隆佳