初めまして。今年から弁護士法人ALG&Associatesに入所しました、井上真理と申します。
 これから一人ひとりとじっくり向き合い、ご相談者様の納得の行く解決ができるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、今年1月から家事事件手続法という新しい法律の運用が始まりました。
 新しい制度がまだ始まったばかりで、実際に運用が始まってみないとわからないことも多いかと思いますが、どんな点が変わったかを、ご紹介したいと思います。

(1)手続の透明化

 これまでの家事事件手続は、明文の規定がなく、裁判所の裁量で決まることが多かったのですが、家事事件手続法では多くの手続きが明文化されました。

 例えば、記録の閲覧謄写が認められるか否かは、これまでは明文がなかったため、各地方の家庭裁判所や裁判官によって取り扱いが違うこともあったようですが、家事事件手続法では例外を除いて原則許可ということになりました(47条1項、3項)。

 そのほか、証拠調べについても当事者の申立権が認められるなど、多くの点で手続きが明文化したため、手続の全体的な流れや、当事者や関係者が出来ること、できないことがわかりやすくなり、裁判所に対してどのような手続きを要求可能か、ということも事前に予測できるようになりました。

 このような改正は、一見地味ですが、利用者にとっては非常にわかりやすく、利用しやすいものになったはずです。

(2)より利用しやすく

 例えば、電話会議、テレビ会議システムの導入などがあります。亡くなった方の遺産分割をしたくても、相手方が遠くに住んでいて、毎月のように相手方の管轄の家庭裁判所まで行くのは経済的にも体力的にもつらく、申立てを躊躇してしまうこともあると思います。相手方が調停に来てくれるかどうかもわからないのに、遠くの地方の家庭裁判所までお金と時間をかけていくといった無駄も省くことができて、メリットは大きいと思います。

(3)子供の地位の強化

 これまで、両親の離婚などの際、子供は生活環境や経済状態などに大きな影響を受けるにもかかわらず、発言力が小さく、振り回される存在になりがちでした。今回の改正により、子供の年齢、発達に応じて子供の意見を聞く手続や、子供の立場を代弁する子供の手続代理人の制度が新設されました。

 家事事件は、皆さんにとって一番身近で、誰でも巻き込まれる可能性のあるものだと思います。これらの改正により、より手軽に利用できる便利な手続きとなるといいですね。

弁護士 井上真理