日本では、お互いの話合い(協議)では離婚の合意が成立せず、それでも離婚を望む場合には、離婚裁判を起こす前に、まず調停をしましょうという調停前置主義という仕組みがとられています。

 そして、調停でも話し合いが成立しない場合には、最終的な手段として裁判をして離婚を裁判所に認めてもらうということになります。

 この、調停と裁判という二つの手段、どちらも裁判所で行われる手続きなのですが、様々な違いがあります。

 その中でも大きく違うのが、裁判所に呼び出しを受けたにもかかわらず、欠席した場合の効果です。

 調停というのは、お互いが話し合って、妥協点を探るという手続きです。

 ですから、相手に離婚調停を申し立てられたみたいだけれど、自分は離婚するつもりは全くないし、相手と話し合いをするつもりも全くないので、裁判所には行きません、と考えて調停を欠席した場合、話し合いができません、ということで調停は不成立となります。この場合、離婚は成立しません。

 しかし、その後相手方がさらに離婚訴訟を提起した場合にはそうはいきません。調停の場合と同じように、裁判所からの呼び出しを無視して欠席しても、裁判所はどんどん裁判の手続きを進めてしまいます。

 そして、相手の出した証拠や主張等によって、裁判所が、この夫婦には離婚原因があると認めた場合、片方が裁判に欠席したままでも、離婚が成立してしまう可能性があります。

 

 この、相手が出てこなくても離婚が出来る、という仕組みは、相手の配偶者が行方不明で、離婚について話し合いや調停をしたくても現実的に不可能、という場合に離婚を成立させるためにも利用されています。

弁護士 井上真理