最近、ようやく春らしくなってきましたね。
今回は、協議離婚における離婚意思について述べたいと思います。
離婚意思とは、協議離婚の実質的要件とされています。例えば、配偶者の一方に離婚する意思がないのに、他の配偶者が勝手に離婚届を作成し、提出したとしても、その離婚は、無効となるわけです。その場合、訴訟によって離婚の無効確認をすることも可能です。
では、具体的に離婚の意思とは、どのようなものなのか以下述べたいと思います。
離婚の意思の解釈としては、大きく分けて2つの考え方が成り立ちます。
1つは、離婚の意思として夫婦関係を解消する意思が必要だとする考え方です。つまり、離婚の意思を実質的に解釈しようとする考え方です。
もう1つは、離婚の意思として届出に向けられた意思のみで足りるとする考え方です。つまり、離婚の意思を形式的に解釈しようとする考え方です。
現在、判例が採っている考え方は、後者の考え方です(大判昭16.2.3)。その根拠としては、婚姻と違って離婚後の生活には定まった形態がないということが挙げられます。
具体的にいうと、離婚した場合、別居し、夫婦生活を完全に解消することもあれば、子の養育のために離婚はするものの夫婦生活は続けていく等離婚には様々な形態があるということが挙げられます。
その判例の考え方からすれば、形式的な離婚の意思さえあれば、方便のための離婚届も有効ということになります(最判昭38.11.28)。
これに対して、婚姻意思については届出意思とともに夫婦関係の設定する意思が必要するのが判例の考え方です(最判昭44.10.31)。そのため、いわゆる偽装結婚は無効とされる可能性が高いといえるでしょう。
弁護士 大河内由紀