こんにちは。本日は、離婚に伴う金銭問題についての考え方について、お話しします

 離婚に伴う金銭問題には、養育費、財産分与、慰謝料などの問題があります。

 さて、慣れないと、これらの問題をどう処理していったらいいのか、すぐには判断できないと思います。

 離婚に伴って慰謝料が欲しい、という方は、たくさんいるのですが、まず、慰謝料というのは、不貞行為などの不法行為(配偶者に対して精神的又は肉体的な損害を与える行為)がなければ発生しません。また、慰謝料が発生するようなケースであっても、慰謝料を請求された側としては、「悪い事をしている。」と責められるわけですから、実際に悪い事をしている人であっても、素直に払いたがらないのが実情です。ということで、慰謝料として金銭をもらうのは、交渉(話合い)の段階では、意外に労力がかかります。

 次に財産分与ですが、これはどちらが悪いとかいう問題は関係なく、離婚時(別居時)までに築いた財産を夫婦で半分に分けるだけのものです。「半分に分けるだけ」と言いましたが、これまたやっかいな問題があり、現金や預貯金の形で存在していれば、分与もしやすいのですが、不動産など、現金化が容易ではない財産しかないような場合は、実際に分けるのは難しいです。多額の住宅ローンが残っていたりするケースではなおさらです。不動産を売却しても、ローンだけが残ったりします。

 次に養育費ですが、これは、基本的には、配偶者それぞれの年収額から算出されるもので、計算はそれほど難しくありません。また、養育費は、統計に基づいて、それぞれの年収額に応じて支払える額が決められるようになっていますので、計算上は、支払えないわけはないのです。しかし、やはり、気持ちとして、「親権を手放したのに、養育費の支払義務だけを負担するのはいやだ。」となりがちです。

 このように、いずれの金銭問題も、合意をまとめるには、やっかいな側面があります。

 したがって、話合いで穏便にすませようとするなら、ある程度は、いずれかの項目を譲歩せざるを得ない、ということも頭の片隅に置いておかなければなりません。

 そこで、どのように考えるか、ですが、それぞれ特徴があるので、求める利益を得たり目的を達成できるかどうかに違いがあります。

 慰謝料は、総額が決められ、ある程度一括でまとまった額が支払われることが多いです。そういう意味では、離婚して独立して生計を立てるための資金として使えます。ただ、私の実感では、離婚する夫婦に、そんなにまとまったお金があるケースは、あまり多くありません。多くは、どこかから借入をしてやっと100万~150万円程度を準備するといった感じです。

 養育費は、離婚当初にまとまった額が入るわけではありませんが、子が成人するまでのトータル額は、かなりのものになります。ただ、途中で支払いを勝手にストップされてしまうリスクはあります。

 財産分与は、基本的には、存在している財産を支払うものなので、回収できないリスクは比較的低いことになります。ただし、不動産を売却して売却益を分配する場合などは、具体的な損益額は、売ってみないと分からないというリスクはあります。

 このように、それぞれ一長一短ありますが、すぐにまとまった金銭が欲しいか、長期的に一定の金銭を得る方がよいのか、相手方に対する信頼度合いは、などを考慮して、どこを譲歩したらいいのかを検討してみてはいかがでしょうか。