離婚を行う際には、婚姻費用分担と養育費分担との2つの場面で、当事者の収入が関わってきます。ところが、場合によっては、お互いの収入額がいくらになるかが容易に決着しないことがあります。

 今回のテーマは、実務上見られる当事者の収入額の算定方法です。

 大体の場合には、収入を証する書面による場合が多いです。給与所得者なら給与明細や源泉徴収票、事業所得者なら確定申告書です。これを出しておけば、とりあえず同額が当該人物の収入額であろうと認めてもらえることも多いです。

 給与明細等が存在するのに、それは実態を反映していない(あるいは急激な収入の変化があったのでもう参考とならない)と反論するのは、かなり大変な作業となると思われます。

 給与明細等が存在しない、当事者から出てこない、当てにならないと証明されているなどの事情がある場合には、別途収入を確定させる基準を探す必要があります。資料がないから決められない、とあきらめるわけにはいかないからです。方法としては、過去に以下のようなやり方で決めた例があるようです。

 ① まず、生活実態から推定する方法が考えられます。特に、支出額に注目すれば、同程度の収入がなければ生活を維持できないということで、収入額を推定する際の助けとなると考えられます。

 ② 次に、判明している従前の収入額から推定する方法というのもあるようです。生活水準が大きく変化していなければ、従前どおりの額と考えることができるし、変化があれば変化の方向や程度からある程度の収入の変動幅を推定できるでしょう。

 ③ 最後に、平均賃金額を用いるという方法も考えられます。適用に際しては、そのまま当てはめる場合の他、個々の事案に応じて適当な割合に減少させて当て嵌める場合もあるようです。この方法が用いられたケースの中で変わったものとして、当事者がその資格や能力からして低い収入額に甘んじている場合に、同程度の資格者の平均賃金額を収入額と見なしたものがあるようです(大阪高決平成18年4月21日公刊物未登載)。

 これらの他にも、事案によって説得的に理論を裏付ければ、収入額認定基準として採用される方法が出てくるかもしれません。そこは、知恵の絞りどころですね。