皆様こんにちは。寒い日が続きますね。風邪などひかないように気を付けて下さいね。

 前回(平成24年1月10日分)、婚姻成立のための要件について他の国との比較をコラム的に紹介しました。それでは、次に当事者に婚姻関係が成立した場合、夫婦間にどのような人的な法律関係が生じるかを紹介していきます。

① 夫婦の姓(氏)について

 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(民法750条)。民法はこのように定めて夫婦は同じ氏を称することを求めています、いわゆる夫婦同氏の原則です。

 ただこれについては議論のあるところで、それぞれの価値観の多様性を尊重すべきであり、選択的夫婦別姓を認めるべきという考え方もあります。

② 同居義務、協力・扶助義務について

 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)。このように、夫婦は同居する義務があり、夫婦の間には助け合う義務が法律的にあることを民法は明言しています。

 同居義務については、多くの人は、結婚当初に夫婦が同居することは当然のことと考えていると思います。しかし、婚姻関係が破綻しているとき、このような義務が守られていないのは、芸能人の芸能レポートを見てみなさんよく知っていますよね(笑)。

 協力義務について、抽象的、観念的、理想的、道徳的な要素が強く法的強制になじまないとも言われています。一方で扶助義務はより具体的なもので物質的、金銭的な扶養義務であり、その履行は法的に強制し得るものです。

③ 貞操義務について

 夫婦は互いに貞操義務を負っており、配偶者以外の異性と性的な関係を持ってはなりません。しかし、これについては民法上に条文としては規定されていないんですね。不貞行為が離婚原因になる(民法770条1項1号)ことから夫婦に貞操義務があるという論理になっています。

④ 夫婦間の契約取消権について

 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる(民法754条本文)。どういうことかというと、夫が、妻に対して誕生日プレゼントとして100万円のダイヤの指輪を買ってあげるという約束をしてそれを書面にしたとしても、夫はいつでも、自由にやめたといえるということです。ただ、この取消権は濫用されるおそれがあり判例では制限的に解釈されています。

 他に成年擬制や、財産的な関係については別途規定されていますが、基本的に以上が、婚姻成立により生じる夫婦間の人的な法律関係の主なものです。それでは、次回からこのような法律関係それぞれについてアットランダムにより詳しく検討していきたいと思います。

 それでは、また。

参考文献(「民法親族・相続」(第2版)松川正毅)

弁護士 福永聡