有責配偶者からの離婚請求が原則として認められないことは、このブログでも何度か出てきていると思います。
 例外的に認められる場合でも、

① 別居期間が当事者の年齢及び同居期間に比して長期であること
② 未成熟子が存在しないこと
③ 離婚が相手にとって苛酷にならないこと

という条件が必要となります(最高裁昭和62年9月2日判決)。

 しかし、このいずれかの条件が欠けていれば、必ず有責配偶者からの離婚請求が認められないという訳ではないようです。一見矛盾するようなタイトルですが、有責配偶者であっても誠実な対応をとっていれば、離婚が認められる場合があるようです。

 婚姻期間が34年間、別居期間が8年間、当事者の年齢が夫52歳、妻55歳という事案で、原審が8年間の別居期間は婚姻期間や当事者の年齢からして長期間とは認められないとして、請求を棄却したところ、最高裁平成2年11月8日判決は、別居後も生活費を負担していたこと、別居後不貞相手との関係を解消したこと、財産関係の清算について具体的で相応の誠意ある提案をしたことを考慮する必要があるとして、原判決を破棄し、原審に差し戻しました。

 また、最高裁平成6年2月8日判決は、高校3年生の子がいる事案で、高校3年生の子が未成熟子であると認めながら、別居時から13年間毎月15万円支払ってきたこと、離婚に伴う経済的給付も期待できることを理由に有責配偶者である夫からの離婚請求を認容しました。

 これらの判例から上記の条件が有責配偶者からの離婚請求が認められるための絶対的な条件ではないことが分かります。そして、上記の条件が形式的に欠ける場合でも、裁判所は、有責配偶者が相手や子に対して誠実な対応を取っているかどうかを考慮して、離婚が認めることがあるようです。

 別の女性ができて奥さんと別れたいと思っている旦那さんは、奥さんのことを嫌いになっても奥さんや子どもを邪険に扱わないよう気をつけて下さい。

弁護士 竹若暢彦