Q11: 離婚時年金分割制度(10)で、国民年金保険料納付の免除を受けている期間は年金の受給資格を得る期間に含まれるという説明がありましたが、国民年金の保険料免除とはどのような制度でしょうか。
A11: 国民年金の保険料を納めることが経済的に困難な場合に、本人が申請して承認されると、保険料の納付が免除または猶予される制度です。
保険料免除制度、一部納付(一部免除)制度、若年者納付猶予制度、学生納付特例制度があります。
A11-1: 全額免除制度とは
申請により保険料の全額が免除されます。
本人、世帯主、配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は、前々年所得)が(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円の範囲内であることが必要です。
単身世帯の場合は、57万円までです。
A11-2: 一部納付制度とは
申請により保険料の一部を納付し残りは免除される制度で①4分の1納付、②2分の1納付、③4分の3納付の3種類があります。本人、世帯主、配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は、前々年所得)が、
① 78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
② 118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
③ 158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
の範囲内であることが必要です。
単身世帯の場合は、①93万円、②141万円、③189万円までです。
A11-3: 若年納付猶予制度とは
申請により保険料の納付が猶予される制度です。30歳未満の方が対象です。本人、配偶者の前年所得(1月から6月までに申請する場合は、前々年所得)が、(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円の範囲内であることが必要です。
A11-4: 学生納付特例制度とは
20歳から国民年金の納付が義務付けられていますが、学生は、申請により在学中の保険料の納付が猶予されます。所得額が118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等の範囲内であることが必要です。各種学校や海外大学の日本分校の中には対象にならないものもあります。
A11-5: 免除の申請は、住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口です。申請書は、年金事務所や市区町村役場の国民年金担当窓口に備え付けてあります。保険料を未納のまま放置すると老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取れない場合がありますので、保険料を納められない場合には免除制度を利用するとよいでしょう。
免除制度については、日本年金機構のホームページに詳しい説明があります。申請書の提出先は、市区町村役場ですが、問い合わせ先は、年金事務所です。
次回は、退職(失業)による特例免除と法定免除について説明します。
弁護士 石黒麻利子