こんにちは。梅雨みたいな天気でいやですね。

 本日は、離婚に関連するさまざまな手続きで、どの程度事実関係を明らかにしなければならないか、についてお話します。事実関係をどの程度明らかにする必要があるかは、訴訟、調停などの手続きの種類や争点によって異なっているのです。

 例えば、夫婦間で、妻の不貞行為が問題になっているとします。

 これが不貞行為に基づく慰謝料請求訴訟の場合であれば、不貞行為があったのかなかったのか、その不貞行為はいつごろどのような頻度であったのか、具体的にどのようなことをしたのかなど、ある程度詳細に事実認定をする必要があります。ですから、当事者は、どの事実を認めるのか、否認するのかを、慎重に判断したり、証拠を十分に出さなければならなくなります。

 これに対して、不貞行為の慰謝料請求の調停の場合は、柔軟です。極端な話、事実を認めるか否かにかかわらず、「解決金」という名目で金銭の支払いを合意することもあります。これは、調停が、双方の話し合いと合意によって成り立つもので、双方が結論に納得すればそれでよい、と言えるものだからです。

 また、さらに視点を変えて、監護者指定の審判において、監護者となりたいと思っている妻が不貞行為をしていたことを、夫が問題視しているとします。不貞行為は許されるものではありませんが、この場合は慰謝料請求とは異なり、不貞行為の事実の有無がメインの争点ではありません。監護者指定の審判でメインの争点は、監護者としての適格性です。たしかに不貞行為をして子どもをほったらかしていれば、子どもを危険にさらすことになるので、監護者としての適格性はないという評価につながりやすいです。しかし、不貞行為をしていても、子どもをほったらかしているわけではない場合もあります。例えば、不貞行為をしている時間帯は、子どもの祖父母や幼稚園・保育園など別に子どもの面倒を見てくれる人がいる場合です。このように、不貞行為をしたか否かより、子どもをきちんと養育しているかどうかに争点がシフトするのです。

 このように、手続きの種類や争点によって、事実をどの程度明らかにしなければならないかは異なるので、これを意識すると、手続きを効率よく進めることができるようになります。また、不貞行為をしてしまったから、親権者や監護権者の争いにおいて絶対不利になる、とあきらめる必要もないことがわかります。