こんにちは。朝晩、肌寒くなってきましたね。
 本日は、単なる性格の不一致で離婚できるのか?という疑問について、少々検討してみたいと思います。

 相談にいらっしゃる方の中には、「配偶者となんとなく性格があわなくて、一緒に生活するのも苦痛。はっきり言って離婚しかありえないと思うけど、こんなので離婚できるの?」という方がよくいらっしゃいます。そのような疑問を抱くのももっともで、日本の裁判所では、「離婚事由」というものがないと離婚が認められず、「性格の不一致」というのは最も「離婚事由がない」とされるリスクの高いものではないかと思います。

 しかし、まず、考えるべきは、単なる性格の不一致だから「離婚事由がない」として離婚できないというのは、あくまで、裁判所が判決で判断する場合のことです。つまり、協議や調停であれば、離婚事由がなくても、相手方が離婚に同意しさえすれば、離婚できることもあります。

 たしかに、離婚事由がないのに、相手方が離婚に同意してくれるわけはない、という不安はあります。しかし、配偶者から「はっきり言って、あなたとはもうやっていけない。離婚して。」と言われ、それでも離婚せず夫婦であり続けるというのは、根気が必要なことです。したがって、離婚を求める側が提示する条件次第では、相手方が根負けして、離婚の合意が成立することもあるのです。つまり、ある程度柔軟に条件を提示できるという心の余裕、資金的余裕を持ち合わせていれば、意外に離婚が成立することもありえます。

 ただ、当然、協議や調停がうまくいくケースばかりではありません。

 そうすると、とりあえず別居して、別居期間を長期化させ、客観的に婚姻関係の破綻を明確にする、という方向性が考えられます。

 もちろん、家に1人置いて行かれたほうの配偶者(離婚する気はない)としては、当然、憤るでしょう。そのような配偶者は、「そもそも破綻した原因は、家を勝手に出て行った方にある。わがままだ。」と考え、「そもそも家を出て行った側からの離婚請求は、有責配偶者(破綻について責任がある配偶者)からの請求だから、離婚は認められない」と主張するでしょう。

 このような心情も理解できなくもありません。

 そして、実際に、「勝手に家を出て行った事」をもって有責配偶者なのかが争われたケースがあります(横浜地方裁判所昭和59年7月30日)。

 これは、結婚11カ月目にして妻が家を出て別居開始したが、その後も夫は同居を求めており、判決が出た時点で別居6年数か月だったという事案です。妻が別居したきっかけは、簡単に言うと、「夫と一緒に過ごしていてもつまらない。」というものでした。

 判決では、夫婦間の不和の事実を丁寧に見て行き、不和の原因は「各人の行動にとりたてて非難されるべきものが原因としてあったわけではなく、つまるところ原・被告の精神的不協和がその重要な原因をなしているものと認められる」と判断し、その上で、夫の自分の意見を押し付ける性格にも夫婦が関係修復できなくなった一因があったのだから、もっぱら妻に破綻の原因があるともいえないと判断しました。

 つまり、全体の流れを見ると、「夫と一緒に過ごしていてもつまらない。」という一見わがままな考えで始まった別居でしたが、最終的には、そのような別居の始めかたでも、妻にのみ破綻の責任があるとは認められなかったということです。

 このようなケースもありますので、別居はわがままかな?と思って別居を思いとどまっている方も、ご参考にしてみてください。ただし、もちろん、実際に単なるわがままということもありますから、その場合は、「有責配偶者」と言われるリスクもあります。慎重に考えなければいけませんね。