Q9: 離婚時年金分割制度について調べていると、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者という名称が出てきます。
 私は、サラリーマンの妻で専業主婦なので第3号被保険者に当たりますが、これらの違いや離婚したらどうなるのかがよく分かりません。今さらかもしれませんが、国民年金の被保険者について教えて下さい。

A9-1: 第1号被保険者
 第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満の人で、厚生年金や共済年金に加入していない人、及び、厚生年金や共済年金の加入者に扶養されていない人です。

 自営業者、農業従事者、学生、無職の者等が該当します。次に述べる第2号被保険者の場合、給与等から国民年金の保険料が控除されますが、第1号被保険者の場合、自分で国民年金の保険料を納める必要があります。国民年金の保険料を納めなかった期間があると、25年間の受給資格期間を満たさず65歳からの老齢基礎年金を受給できなかったり、未納期間分の老齢基礎年金が減額されるので注意が必要です。

A9-2: 第2号被保険者
 第2号被保険者とは、厚生年金保険の被保険者、国家公務員共済組合の組合員、地方公務員共済組合の組合員、日本私立学校振興・共済事業団年金の加入者、即ち、厚生年金保険の適用事業所に勤める労働者、国家公務員、地方公務員、私立学校に勤務する教職員です。

 第2号被保険者の場合、給与等から国民年金の保険料が控除されるので、第1号被保険者と異なり国民年金保険料の未納の問題は生じません。ただし、転職して、無職の期間がある場合、その期間は、第1号被保険者として自分で国民年金保険料を納めないと未納となりますので注意が必要です。

A9-3: 第3号被保険者
 第3号被保険者とは、第2号被保険者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人をいいます。第3号被保険者になるためには、第2号被保険者である配偶者の勤務先に届出をする必要があります。第2号被保険者の配偶者であっても、被扶養配偶者(年収が130万円未満)ではない場合は、第3号被保険者とはなりません。

 第3号被保険者の国民年金保険料は、配偶者の加入している厚生年金や共済組合から基礎年金拠出金として一括拠出されるので第2号被保険者と同様に、国民年金保険料の未納の問題は生じません。

 ただし、配偶者が転職して一時無職の時期があったり、退職した場合、自ら国民年金の資格変更届けをし、第1号被保険者として国民年金保険料を納めないと未納の問題が生じますので注意が必要です。この点については、専業主婦の国民年金保険料未納問題として報道でも大きく取り上げられたので、ご記憶かと思います。夫が退職した時や、離婚して扶養からはずれた時は、国民年金の3号被保険者から1号ないし2号被保険者への種別変更届けをお忘れなく。

参考文献:「年金分割の考え方と実務」年金分割問題研究会編(民事法研究会)

弁護士 石黒麻利子