こんにちは。
まだまだ余震が続きますね。昨日はエレベーターの中にいる時に地震が起きて、少し怖かったです。気が抜けませんね。
さて、本日は、「婚姻を継続し難い重大な事由」についてお話します。先日、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)とは、どんなものか?という疑問を感じる次のような事案がありました。
ある別居中の夫婦間で、離婚が争われています。離婚の主な理由は、簡単に言えば、結婚する時の約束を妻(便宜上、この妻を「妻②」といいます。)が破ったことです。この事実をもとに、夫は妻②に対して慰謝料も請求しています。妻②は離婚を拒んでいます。当方は夫から依頼を受けています。
離婚訴訟を申し立ててから、約半年が経ちました。
夫は今回の結婚は2回目で、1回目の妻(便宜上、この妻を「妻①」といいます。)との間に子が数人おり、1回目の離婚の際、妻①がそのすべての子どもたちの親権者となることとなりました。ところが、子ども達の一部が、夫の方がいいと言って、夫の家に住みつきました。そこで、夫と妻①の間で話し合いがもたれ、一部の子どもの親権者を変更することになりました。そしてその子ども達は、夫のところに住むことになりました。
そこで、当方は、夫が妻①との間の子どもの親権者となるうえに、現在、その子どもが夫と同居しているので、子どものためにも妻②とは婚姻を継続することはできない、と主張しました。
すると、相手方が、「そんな事情は、妻②にはなんの責任もないのだから、婚姻を継続し難い事由とはならない。」と主張しました。
これに対して、当方は、「でも、事実上、妻②と夫が一緒に生活するのは難しいですよね。」と主張しました。
裁判官の判断は、「どちらに責任があるかは問題ではなく、事実上、夫婦の同居など結婚生活を送ることが困難ということでも、婚姻を継続し難い事由になる。」というものでした。
たしかに、「婚姻を継続し難い重大な事由」は、どちらかに責任がある場合が多いですし、慰謝料の根拠にも大きくかかわってきます。そのため、「婚姻を継続し難い重大な事由」として主張されている事実が、一体、夫婦のどちらに責任があるか、という思考につながりやすくなります。
しかし、今回の事案で、「婚姻を継続し難い事由」というのは、夫婦どちらの責任でもない事情でもよい、ということが再確認できました。