今回は、和解離婚についてご紹介します。

 和解離婚は、人事訴訟法37条に規定されていて、最大の特徴としては、「原告と被告は離婚する。」旨の和解条項による訴訟上の和解が成立して、これが調書に記載されると、直ちに離婚の効力が生じるという点です。裁判上、協議離婚をする旨の和解もできますが、この場合は、あらためて役所に離婚届を提出しなければ、離婚の効力は生じません。

和解離婚は、協議離婚の和解に比べて、次のような場合にメリットがあります。

① 協議離婚をする旨の和解が成立したにもかかわらず、一方当事者が離婚届への署名押印を拒むようなおそれがある場合

② 協議離婚をする旨の和解が成立したにもかかわらず、離婚届の不受理届が役所に提出されてしまうおそれがある場合

 このような場合、協議離婚の和解ですと、通常、財産分与等の和解条項が離婚届の提出を条件としていますので、結局、和解の効力が失われ、あらためて離婚訴訟を提起しなければならない危険があります。

 一方、和解離婚であれば、上記のとおり、和解が成立して、それが調書に記載されたことにより、離婚の効力が生じますので、協議離婚の和解のように和解の効力が失われて、あらためて離婚訴訟を提起しなければならないということはありません。

 相手方が、気が変わりやすいような人の場合、協議離婚の和解ですと和解の効力が失われてしまうおそれがあるので、弁護士にどのような方法で離婚するのが最善がよく相談するようにしましょう。

弁護士 竹若暢彦