Q8: 私は、最近、夫との離婚を考えるようになり、離婚時年金分割制度についても調べているのですが、いろいろな年金の名称が出てきてよく分かりません。年金の種類について教えて下さい。
A8-1: 国民年金
国民年金の被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人です。日本国内に居住していれば全て国民年金の被保険者となりますので、日本国内に居住する外国人も国民年金の被保険者になります。
A8-2: 被用者年金
(1)厚生年金
法律で定める一定の事業所に勤める労働者を被保険者とする年金制度です。厚生年金加入者は、国民年金の第2号被保険者と呼ばれ、年金支給では一部の支給理由を除いて、国民年金と厚生年金の両方から給付を受けられます。
(2)共済年金
国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員は、各々の共済組合が厚生年金と同様の年金給付を行います。共済年金加入者も厚生年金加入者と同様、国民年金の第2号被保険者です。年金支給では一部の支給理由を除いて、国民年金と共済年金の両方から給付を受けられます。
A8-3: 基金
(1)国民年金基金
国民年金に上乗せする年金です。自営業者のように国民年金にしか加入できない方の場合、厚生年金加入者や共済年金加入者に比べ給付が少なくなるため、年金額を増やしたい第1号被保険者が加入しています。
(2)厚生年金基金
厚生年金に上乗せする年金です。厚生年金基金は、厚生年金の適用事業所が従業員の年金を増加させる目的で設立したものです。
A8-4: その他の年金制度
(1)確定拠出年金
掛金があらかじめ定められ、加入者自らの判断で資産運用を行います。事業主が実施主体となって事業主が掛金を拠出する企業型と、国民年金基金連合会が実施主体となり、加入者が掛金を拠出する個人型があります。運用実績により年金額が変わります。
(2)確定給付企業年金
将来受け取る年金額が決まっている企業年金です。企業が設立した基金が年金資金を管理・運用して年金を給付する基金型企業年金と、労使が合意した年金規約に基づいて事業主が年金制度を運営する規約型企業年金があります。
文献:「年金分割の考え方と実務」年金分割問題研究会編(民事法研究会)
弁護士 石黒麻利子