Q6:夫と協議離婚することになり、夫の厚生年金も分割の按分割合を2分の1とすることで合意ができました。年金分割の請求方法について教えて下さい。

A6-1: 分割請求に必要な書類
「標準報酬改定請求書」に必要事項を記載し、次の書類を添付して請求する側の住所地を管轄する年金事務所に提出します。

(1)請求者の国民年金手帳、年金手帳又は基礎年金番号通知書
(2)戸籍謄本(抄本)、又は、住民票
(3)按分割合を定めた書類

A6-2: 按分割合を定めた書類について
 協議離婚の場合には、当事者が標準報酬の改定または決定の請求をすること及び当該請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本もしくは抄録謄本または公証人の認証を受けた私署証書を提出します。これらの書類に関する手続は、「公証役場」で行います。

 なお、年金分割に係る審判の確定、調停の成立、あるいは離婚訴訟における附帯処分の手続で按分割合が定められた場合は、

ア 按分割合を定めた確定した審判の謄本又は抄本及び確定証明書
イ 按分割合を定めた調停についての調停調書の謄本又は抄本
ウ 按分割合を定めた確定した判決の謄本又は抄本及び確定証明書
エ 按分割合を定めた和解調書の謄本又は抄本

を年金事務所に提出します。

A6-3: 公正証書の作成について
 公正証書作成にあたっては、本人確認のための資料が必要です。

 本人が手続きする場合、

① 運転免許証と認印
② パスポートと認印
③ 住民基本台帳カード(顔写真付き)と認印
④ 印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)と実印

のいずれかを持参します。

 代理人の場合、本人の実印を押印した本人作成の委任状、本人の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)、代理人自身の上記①~④のいずれかをお持ち下さい。
 詳細は、予め公証役場に問い合わせるか、日本公証人連合会のホームページを参照して下さい。

※年金分割は、按分割合を定めても、年金事務所に請求をしないと厚生年金の保険料納付記録は変更されません、また、請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年)がありますのでご注意下さい。
 なお、3号分割の場合、按分割合は2分の1に定められており合意は不要ですが、当事者が分割の請求をしなければ年金分割をしてもらえないのは合意分割の場合と同様ですから気をつけて下さい。

弁護士 石黒麻利子