Q3:離婚時年金分割制度の本を読むと、「社会保険事務所」で年金分割のための情報提供の請求をすると書いてあったのですが、今は、社会保険事務所という名称はなくなったと聞きました。どこに請求すればよいのでしょうか?

A:年金事務所に請求して下さい。

 社会保険事務所は、厚生労働省設置法第30条に基づいて設置されていた国の出先機関で、厚生労働省の外局であった社会保険庁が管轄していました。

 皆様もご存知のとおり、社会保険庁は、消えた年金事件や職員の台帳改ざん事件などの不祥事が相次いで発覚したことから、平成21年12月31日に廃止され、平成22年1月1日より非公務員型の特殊法人「日本年金機構」に業務が引き継がれました。この日本年金機構の発足により、従来年金業務を扱っていた社会保険事務所は、「年金事務所」に変わりました。

 このようなわけで、平成22年1月1日以前に出版された本では、社会保険庁、社会保険事務所と記載されているのです。現在は、各々日本年金機構、年金事務所に変わっているので、書類の請求や問い合わせをされるときはご注意下さい。

 なお、全国312カ所の年金事務所の所在地や電話番号は社会保険事務所のものと変更はないそうです。

 では、新名称で、請求手続きの流れを見てみましょう。

1.3号分割の請求のみする場合

 年金事務所で年金分割の請求手続きをします。

2.合意分割の請求、又は、合意分割の請求と共に3号分割の請求をする場合

 まず、年金事務所で年金分割のための情報提供の請求を行い(離婚前でも離婚後でも請求できます。)、年金分割のための情報通知書の交付を受けます。当事者で分割割合について話し合い、合意ができた場合は、年金事務所に年金分割の請求をします。

 合意ができない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをし、調停成立又は審判確定後、年金分割請求を年金事務所に行います。

 以上の手続きにより標準報酬改定通知書が交付され年金分割ができることになります。

 手続きの詳細については順次ご紹介いたします。

弁護士 石黒麻利子