そして、裁判所は、①別居期間は比較的短期間ではあるものの、別居に至った直接のきっかけは、Yが、何らの予告なく自宅の鍵を取り替えてXが自宅に戻ることを不可能にする実力行使に出たことが原因であり、Yにおいて、積極的にXとの同居を拒むに至ったものというべきであること ②子らは比較的年長者であること ③経済的な状況として、XがYが作った借金を返済し続けており、かつ、YがXの収入や借り入れへの返済額に比して過分ともいうべき婚姻費用の支払いを1年以上受け続けてきていること、客観的にはYにおいて未だ家計の切りつめを十分にしたとはいえない状況であることや、稼働が可能であること等を合わせ考慮して、
「Yが、離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等、Xからの離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するということのできるほどの特段の事情を認めるには至らないというほかない。」
と判断しました。
結論として、婚姻期間18年半の夫婦で別居期間は約1年半と短かく、また、有責配偶者からの離婚請求でありましたが、離婚を命じる判決が下されました。