こんにちは。今日は、夫の不貞行為が婚姻関係破綻のもっとも大きくかつ直接的な原因でありながら、離婚の請求を認容した裁判例(札幌家庭裁判所平成27年5月21日判決)をご紹介します。前回(3月2日)にご紹介した裁判例の後編です。

 事案の概要をお話しますと、夫であるXは、妻であるYに対し、婚姻関係が破綻し「婚姻を継続しがたい重大な事由」を有するに至ったと主張し離婚を求めたのに対し、Yは婚姻関係の破綻自体を争うとともに、不貞行為をしたXからの離婚請求は信義則に反し許されないと主張しました。

 本件では、①婚姻関係が破綻したか否かと②有責配偶者からの離婚請求であり許されないのかが争点でしたので、前編では①についてお話しました。
 XとYは婚姻期間18年半であるのに対し別居期間は約1年半(本件口頭弁論終結時)と短いものでしたが、裁判所は、婚姻関係が破綻していると判断しました。